役員報酬とは 事前確定届出給与についても解説

2025年2月3日 更新

役員報酬には、定期同額給与、事前確定届出給与、業績連動給与の3種類があります。これら以外の役員報酬は、損金に算入することができません。この記事では、これら3つの役員報酬について解説し、事前確定届出給与の手続きについても説明します。

1.定期同額給与とは

定期同額給与とは、法人税法上の役員給与のうち、「その支給時期が1か月以下の一定の期間ごと」である給与で、毎回同額が支給される給与のことをいいます。

この定期同額給与は、税務署への届け出がなくても損金算入できます。ただし、株主総会等の議事録を作成しておく必要があります。

一方、事前確定届出給与は税務署へ事前に届出をしていなければ、損金算入はできません。

2.業績連動給与

業績連動給与とは、役員報酬を企業の業績と連動させて支給する制度のことで、事前に金額が決まっていないことが特徴です。
業績連動給与は、利益の状況を示す指標など所定の指標をもとに報酬額を算定し、その算定方法が有価証券報告書等により開示されていることが必要です。そのため、基本的には株式を公開していない非上場の会社では、この制度は利用できません。

3.事前確定届出給与とは

事前確定届出給与とは会社が役員に対して、所定の時期に、役員への賞与の額を確定し、あらかじめ税務署に届出をしてその届出書の通りに支給する賞与のことです。あらかじめ賞与額を税務署に届出ているので利益操作の余地がないため、役員賞与であるにもかかわらず損金算入が認められています。

 

4.事前確定届出給与の手続き

(1)株主総会等での決議

 株主総会等において、対象となる役員の報酬の支給日と支給金額を確定させ、議事録を作成する必要があります。

(2)税務署への届出

 株主総会での決議後、「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署に提出する必要があります。

なお、提出期日は以下のいずれかの早い日です。

①株主総会の決議から1ヶ月以内
②決算から4ヶ月以内(新設会社は2ヶ月以内)

(3)届け出た通りに支給する

事前確定届出給与は、役員に支払う報酬額とその時期を決定した上で届け出を実施します。

もし支払日が1日でもずれると、あるいは1円でも金額がずれると、損金にできないので注意しましょう。

5.まとめ

事前確定届出給与は、株式を公開していない中小企業でも使えるため、多くの企業で活用されています。役員賞与を損金算入できる制度として、導入を検討する価値は高いと言えます。しかし、やや煩雑な手続きが必要なため、税理士と相談して充分に準備をして活用しましょう。

 

国税庁参考サイト

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5211.htm

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